演劇集団GEKIIKE(スタービートエンターテイメント)が2015年に上演し、映画化もされた人気作、『月下燦然ノ星-帝都綺譚-』を約11年ぶりに再演!2026年9月18日から27日まで全15公演、新宿村LIVEにて上演されます。脚本は木村純子、演出は樋口夢祈が変わらず担当し、令和の今をときめく新たなキャスト陣が集結。華やかで、しかしどこか仄暗い“大正時代”末期の物語を紡ぎます。

今回は主演・三浦和人を演じる谷水力、西条一弥を演じる日向野祥のインタビューをお届け。意気込みはもちろん、作品にちなんで、彼ら自身の過去にも迫りました。

――谷水さんは舞台「鬼神の影法師」シリーズ、日向野さんはGEKIIKE本公演第12回『漆黒ノ戰花-再演-』、Asterism⁂ vol.08『THE JUDGMENT DAY』Asterism⁂ vol.09『アルビノ』と、木村純子さんが脚本、樋口夢祈さんが演出を務めるスタービートエンターテイメントの作品に馴染みのあるお2人ですが、改めてスタービート作品の魅力を教えてください。

谷水:エンターテインメント感が強いのが魅力的だなと思います。今作もそうですが、「鬼神の影法師」シリーズも殺陣はもちろん、ダンスや、最近はオリジナルの歌も作られて、年々華やかになっていくなぁと思っています。あと、脚本の木村さんが作り出す世界観がすごく心をくすぐるんですよね。陰陽師とか、大正ロマンとか。ワクワクする設定や濃いキャラクターがたくさん登場するところも、この団体の魅力かなと思います。

日向野:木村さんの脚本は、物語の主軸が1本あったうえで、そこから枝分かれするサブストーリーも色濃く描かれているところが面白いなと思っています。例えば大きく“愛”というテーマがあったとして、その“愛”の伝え方や方向性がさまざまで……そういう要素が随所に散りばめられているので、深い作品が仕上がるんだろうなと思います。キャラクタービジュアルも2.5次元かのような作り込み具合で、僕らのファンの方々が喜ぶ雰囲気のビジュアルが多いなぁと思います。

――2.5次元に逆輸入できそうな雰囲気ですよね。

谷水:実際に「鬼神の影法師」シリーズはコミカライズもされているので、本当にそうだと思います!

――本作、GEKIIKE本公演第17回『月下燦然ノ星‐帝都綺譚‐』に出演するにあたって、役作りのために取り組まれていることはありますか?

谷水:稽古場で軍事教練というものを実際にやっているんです。芝居稽古が始まる前に、20分~30分くらい、みんなで隊列を作って「右向け右!」「敬礼!」といった掛け声に合わせて動きを揃えて……。歌劇団の物語ではありますが、やはり軍人たちの話なので、そういったキビキビした動きが身体に染み付くように、樋口さんや、祥くんも詳しいのでお2人を中心に指導してもらっています。

日向野:僕は戦争を題材にした作品への出演経験が多くて、20代の頃からこういった疑似訓練はよく受けていました。大正時代の軍人を演じるとなると、今の時代にはあまりない歯切れの良さ、言葉遣いがどうしても求められるので、こういった教練を皆で体験するのは役作りのためになるなぁと思います。僕が演じる西条一弥という役は、もともとは演出の樋口さんが演じられていた役なので、そこにいるだけで存在感がある雰囲気、皆をまとめる指導者としてのオーラを出さなければ……というところも意識しながら、日々稽古に取り組んでいます。

――その一方で、歌劇団としてパフォーマンスをするシーンもありますよね。楽曲はどのような感じですか?

谷水:大正時代らしいモダンな曲から、ロック調の曲やバラードまで……さまざまなジャンルの楽曲があることが作品の魅力の一つだと思います。思わず口ずさんでしまうような楽曲も多いです!

――大正時代、というのもまた魅力的な設定ですよね。

日向野:西洋の文化が入ってきて、いわゆる和洋折衷な文化が流行った時代と言われていますよね。今作の衣裳は軍服ですが、ガチガチの軍服というわけではなく、少しだけアクセントとして煌びやかな装飾が施されていたり、ベルトがオシャレに使われていたりして……そんなハイカラな部分にも注目していただけたらと思います。

――ビジュアルも非常に素敵に仕上がっていますが、撮影時の思い出は?

谷水:それこそ和洋折衷な雰囲気がある、すごく豪華なスタジオで撮影していただきました!スタジオ内にいろいろなセットが置いてあったので、多種多様なシチュエーションで撮影していただきましたので、ブロマイドなどグッズの仕上がりも楽しみです。

――衣裳のお気に入りポイントは?

谷水:僕が演じる三浦和人は性格的にきっちりと軍服を着るキャラクターなので、あえて着崩しているキャラクターも多い中、ボタンを全部きちんと閉めて、カチッとした状態で撮影しました。そこが逆に三浦の魅力だと思っています。

――日向野さんはいかがですか?

日向野:やっぱり軍人の役なので、正面を向いて軍隊らしいポーズで……という撮影カットも多かったんですが、僕の場合は、なんだか撮影が後半になるにつれて、どんどんと服を脱がされて……追い剥ぎにあったかのように。

谷水:追い剥ぎ!(笑)

日向野:お客様に需要があるならいいんですが!僕もだんだん 楽しくなっちゃって、最終的にはノリノリで脱いでました(笑)。GEKIIKEカンパニーの魅力のひとつとして、本当に現場が温かくて、いい空気感なので、ビジュアル撮影もアットホームな雰囲気で、楽しく終えられましたね。

――美麗なビジュアルを使用したグッズ情報も楽しみになりますね。さて今作は、軍人を志していたはずが、思いがけず歌劇をやることになる三浦和人を中心に物語が展開しますが、そんな三浦にちなんで、お二人が芸能のお仕事を始めたきっかけを教えていただけますか。

谷水:僕はジュノンボーイコンテストがきっかけでした。ありがちな話ですが、姉に応募するように勧められて、ノリで……というと軽く聞こえてしまいますが、初めは正直、絶対に俳優になりたい!アーティストになりたい!といった熱量や夢があったわけではなかったんです。 事務所所属が決まってから、業界のことを知るために事務所の先輩の舞台を見に行って、演技って面白そうだな……と思っていたところで、運がいいことに、今でも出演させていただいている『あんさんぶるスターズ!』の舞台化作品への出演が決まって。本当に今作で演じる三浦と同じで、右も左も分からず、お芝居はもちろん歌もダンスも未経験で……本当にいろいろな方に助けていただきながら、頑張りました。それからもう10年以上が経ちますが、こうして舞台の上に立ち続けられていることをすごくありがたく思っています。

――未経験からの大舞台で、いろいろな葛藤があったと思いますが、三浦のように周りの先輩たちに影響を受けたり、支えてもらったりした、ということですね。

谷水:本当にそうですね。デビュー作に限らず、これまでたくさん悔しい思いをしたり、挫折しそうになったりしたこともありますが、「言われてるうちが花だな」と自分で思うようになって。諦められたら終わりというか……。時には厳しいことを言われるカンパニーもありますが、そういう環境であればあるほど、同じくらい助けてくださる方も多い気がしています。悩みながらでも、がむしゃらに頑張っていると、手を差し伸べてくださる方がいつもいて。具体的に言うと、ご飯連れてってくれたりとか!そういう先輩方の支えがあって、もっと頑張ろうと思えることが多かったです。あとは何より、どんなにしんどくても、板の上に立って本番が始まって、お客様の反応を見たり、お手紙で感想をいただいたりすると、頑張って良かったな、この作品に出会えてよかったなって思えますね。

――日向野さんはいかがですか?

日向野:僕は昔から、祖父と一緒にテレビで見る時代劇が大好きで、興味がありました。でも、当時はまだ幼稚園生で、“役者”という職業が分かっていなくて……この画面の中で生活している人たちはどこにいるんだろう、なんて思っていたんですよ。成長するにつれてもちろん役者という職業も、時代劇というエンタメも理解できるようになったのですが……その後、明確に“役者”に興味を持ったきっかけは、上野樹里さんでした。高校生の時にTVドラマ『のだめカンタービレ』(2006年)と『ラスト・フレンズ』(2008年)を見ており、どちらの作品も上野樹里さんが主演なのですが、あまりにもお芝居の方向性が違うので、僕は同じ女優さんが主演だと気づかなくて。『ラスト・フレンズ』のエンドロールで上野さんのお名前を見て、衝撃を受けたんです。役者って、こんなにいろいろな人間になれるんだと思って。僕は美容師志望だったんですが、高校時代の恩師に役者に興味があるということを相談したら「人生一回しかないんだから、夢追うのも夢だぞ」と言われまして……。この言葉は、未だに僕の座右の銘の一つなのですが、その言葉に背中を押されて一歩踏み出しましたね。

――日向野さんは低音ボイスが非常に魅力的ですが、友人や家族から芸能活動を勧められたりはしなかったのですか?

日向野:いやいや、むしろ僕はこの声がコンプレックスだったんです。世代もあるんですけど、カラオケに行くとファルセットを使って歌うようなキーが高い曲しかなくて。

谷水:めっちゃわかる。

日向野:わかる?

谷水:僕も見た目に対して声が低いのがコンプレックスだったんですよ。

日向野:僕の場合は低すぎて聞き取ってもらえないこともしばしばあり……何回も聞き返されるのが嫌で、学生の頃は口数が少なかったと思います。最近になってようやく年齢が声質に追いついてきたのか、「声がいいね!」と言っていただける機会が増えてきて、嬉しい限りです。

――貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございます。では最後に、こちらのインタビューをお読みの皆様、劇場に足を運んでくださる皆様にメッセージをお願いします。

日向野:ビジュアルやあらすじからは“大正時代”や“軍隊”というところに目を引かれると思いますが、人間同士の想いのぶつかり合いが色濃く描かれている作品でもあります。登場人物の一人一人が、物事をどういうふうに捉えて、どう考えて行動するのかを注目してご覧いただきたいと思いますし、GEKIIKEならではの“作風”というか、GEKIIKEらしさもたくさん散りばめられていますので、ぜひ劇場に観に来ていただけたらと思います。

谷水:軍人という職業もあってか、人間的な成長が早いというか、若者とは思えないくらい成熟した考え方や価値観を持っている登場人物たちが多いなと感じる反面、三浦をはじめ、やはり若いからこその悩みをやっぱり抱えている面もあって……。後輩・先輩との人間関係だったり、軍隊という組織に所属している以上は絶対的に規則や上官には逆らえないという部分だったり……言葉で表現するのが難しいですが、そういった悩みや葛藤から生まれてくる、人としての“歪み”みたいなものを感じていただけるような、そんな作品にしたいと思っています。とはいえ、歌劇団パートは一つの“ショー”としてお客様に楽しんでいただけるようにしたい、という気持ちもありますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら、とても嬉しいです。

<<プロフィール>>

谷水 力(たにみず・りき)

10月16日生まれ、福岡県出身。2016年、舞台デビュー作となる『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』衣更真緒役を皮切りに2.5次元作品を中心に活躍。主な出演に、舞台「刀剣乱舞」シリーズ 南泉一文字役、舞台「弱虫ペダル」シリーズ 真波山岳役、舞台『京極の轍-京羅戦争編-powered byヒューマンバグ大学』小湊圭一役、Groovy Stage『ブレイクマイケース』壱川春日役など。

日向野 祥(ひがの・しょう)

1月19日生まれ、神奈川県出身。2.5次元舞台を中心に、TV・映画に出演する機会も増えている。主な出演作品に、2.5次元ダンスライブ「SQ(スケア)」ステージシリーズ 篁志季役、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズ 澤村大地役、舞台「COLOR CROW」シリーズ 羅生聖護役、舞台『忠臣蔵』神崎与五郎役など。

ライター:通崎千穂(SrotaStage)