「外国人観光客を集客したいけれど、何から始めれば良いのかわからない」「インバウンド需要を取り込む効果的な方法を知りたい」とお悩みではありませんか?コロナ禍からの回復とともに急増する訪日外国人観光客は、日本経済にとって大きなビジネスチャンスとなっています。国内市場が縮小傾向にある今、インバウンド集客は多くの事業者にとって成長戦略の要となりつつあります。

本記事では、最新のインバウンド市場の動向から具体的な集客手法まで、紹介します。

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インバウンド集客の現状

2023年の訪日外国人旅行者数は2,519万人に達し、コロナ前の2019年比で61.8%まで回復しました。さらに注目すべきは消費額で、2023年の訪日外国人旅行消費額は5兆2,978億円となり、2019年の4兆8,135億円を上回る記録的な数字を示しています。一人当たりの消費額は約21万円と大幅に増加しており、特に買い物や飲食での支出が伸びています。

観光庁の統計によると、2024年に入ってからも回復基調は続いており、円安の影響もあって外国人観光客の消費意欲は依然として高い状態です。特に東アジア(中国・韓国・台湾)からの観光客が全体の約6割を占めていますが、欧米豪からの長期滞在客も増加傾向にあり、消費単価の高さが特徴となっています。

インバウンド市場のトレンドとしては、団体旅行から個人旅行(FIT)へのシフトが顕著であり、地方分散化も進んでいます。従来の「ゴールデンルート」に加え、地方の観光資源に注目が集まり、体験型観光やグリーンツーリズム、食文化体験などの需要が増加しています。

インバウンド集客が必要不可欠なわけとは?

インバウンド集客は、多くの日本企業や地域にとって単なる選択肢ではなく、今後の成長戦略において必須の要素となっています。国内市場だけに依存するビジネスモデルでは将来的な成長に限界がある中、海外からの訪日客を取り込むことは、新たな収益源を確保するための重要な手段です。

各種調査によると、インバウンド需要の取り込みに成功している企業は、そうでない企業と比較して売上成長率が約1.5倍高いというデータもあります。また、インバウンド対応によって得られる知見は、将来的な海外展開のための貴重な経験値にもなります。

インバウンド集客の本質的な価値は、単に外国人観光客から売上を得ることだけではなく、地域全体の活性化や国際的な視点を取り入れたビジネス変革の契機となる点にあります。

国内市場縮小への対応策として

日本の総人口は2008年をピークに減少局面に入り、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2050年には約1億人、2100年には約6,000万人程度まで減少すると予測されています。この人口減少は消費市場の縮小を意味し、多くの産業に影響を与えています。

特に地方部では高齢化と人口減少が顕著であり、国内需要だけに依存するビジネスモデルでは持続的な成長が難しくなっています。観光業や小売業など地域密着型のビジネスほど、この影響を強く受けるため、インバウンド需要の取り込みは事業継続のための重要な戦略となります。

また、国内消費者の購買行動も変化しており、モノからコトへの消費シフトや節約志向の高まりにより、従来のビジネスモデルでは成長が停滞しつつあります。インバウンド客は消費意欲が高く、特に体験や日本ならではの商品への支出が多いため、この需要を取り込むことで新たな成長機会を創出できます。

地域経済にとってメリットとなるため

インバウンド集客がもたらす地域経済への効果は、単純な観光収入を超えた多面的なものです。観光庁の調査によると、外国人観光客1人当たりの消費額は日本人観光客の約3倍以上と言われており、地域への経済波及効果は非常に大きいものがあります。

具体的な事例として、北海道ニセコ地域では、オーストラリアを中心としたインバウンド客の増加により、冬のスキーシーズンだけでなく、通年での観光産業が発展しました。これにより地域の雇用が増加し、若年層の移住も増えたことで地域コミュニティの活性化にもつながっています。

また、インバウンド集客は地域内の多様な産業に波及効果をもたらします。宿泊施設や飲食店はもちろん、小売店、交通機関、さらには農業や水産業など地場産業にも恩恵をもたらし、地域全体の経済循環を強化する効果があります。地域特産品の国際的な認知度向上は、将来的な輸出拡大の足がかりにもなり得ます。

新たなビジネスチャンスの創出

インバウンド市場の拡大は、従来の観光関連産業だけでなく、様々な新規ビジネスの創出機会をもたらします。例えば、多言語対応のコンテンツ制作やAI翻訳サービス、文化体験プログラムの開発、インバウンド特化型マーケティングコンサルティングなど、新たなビジネス領域が急速に成長しています。

実際の成功事例として、「WAmazingアプリ」のような訪日客向け決済・予約サービスは、キャッシュレス決済と観光情報提供を組み合わせた新たなビジネスモデルを確立しています。

インバウンド向けに集客する方法とは?

インバウンド集客では、通常の国内向け集客とは異なるアプローチが必要です。言語や文化の壁を超えて訪日外国人に情報を届け、実際の来店や利用につなげるためには、デジタルを中心とした戦略的な施策が欠かせません。訪日外国人の多くは旅行前から情報収集を行い、現地での行動計画を立てているため、その検討段階からアプローチすることが重要です。

インバウンドマーケティングでは、自社サイトの多言語化だけでなく、外国人旅行者が実際に利用するプラットフォームやアプリへの露出が効果的です。また、彼らが求める「本物の日本体験」を提供することで、口コミ効果による集客も期待できます。

以下では、具体的な集客方法について解説します。

SEO対策

訪日外国人の約8割は、旅行前にインターネットで情報収集するというデータがあります。多言語でのSEO対策は、計画段階にある訪日外国人へリーチするための基本戦略です。訪日外国人向けSEO対策では、国や地域によって検索エンジンの利用傾向が異なる点に注意が必要です。

例えば、中国ではBaidu、韓国ではNaver、ロシアではYandexなど、Google以外の検索エンジンが主流の国もあります。各検索エンジンの特性を理解し、適切な対策を行うことが重要です。中国向けであれば、Baiduに最適化したコンテンツ制作やサイト構造の設計が必要になります。

SNSマーケティング

SNSは訪日外国人との接点を作る上で非常に効果的なツールです。特にInstagramとTikTokは視覚的な訴求力が高く、言語の壁を超えて情報を伝えられるため、インバウンドマーケティングに適しています。国際観光振興機構(JNTO)の調査によると、訪日前の情報源としてSNSを挙げる外国人観光客は年々増加しています。

Instagramでは、美しい写真や動画で日本文化や体験を視覚的に伝えることが効果的です。ハッシュタグ戦略も重要で、「#visitjapan」「#japantravel」などの一般的なタグに加え、「#tokyofood」「#kyototemple」など地域や体験に特化したタグを使い分けることで、ターゲットに届きやすくなります。また投稿内容を英語や中国語など複数言語で発信することで、リーチを拡大できます。

TikTokは特に若年層へのアプローチに効果的です。短時間で魅力を伝える工夫として、施設内のユニークなスポットや体験の様子を15秒程度の動画にまとめると効果的です。

MEO対策

訪日外国人は現地に到着してからも、スマートフォンでレストランや観光スポットを検索する傾向があります。その際、多くの観光客はGoogle Mapsを利用して、近隣の施設を探します。MEO(Map Engine Optimization)対策は、このような「今すぐ行ける場所」を探している訪日客を取り込むための重要な施策です。

Googleビジネスプロフィールの最適化が基本となります。具体的には、店舗情報(営業時間、住所、連絡先)の正確な登録、多言語での店舗説明の充実、高品質な写真の投稿などが挙げられます。特に写真については、料理や商品、店内の雰囲気が分かるものを複数枚アップロードすることで、外国人観光客の来店意欲を高めることができます。

また、外国語のレビューへの返信も効果的です。外国人からの口コミに対して多言語で丁寧に返信することで、おもてなしの姿勢をアピールできます。外国人観光客からの高評価が増えれば、同じ国からの観光客の来店確率も高まります。

OTAと連携する

訪日外国人の多くは、Booking.com、Expedia、Agoda、Tripadvisorなどのオンライン旅行代理店(OTA)を利用して宿泊施設や体験を予約します。これらのプラットフォームと連携することで、予約前の検討段階から外国人観光客にアプローチすることができます。

各OTAには特徴があり、例えばBooking.comはヨーロッパからの観光客に強く、Agodaはアジア圏からの観光客に人気があります。ターゲットとする国や地域に合わせてプラットフォームを選定し、多言語での詳細な情報提供を行うことが重要です。OTA上での表示順位を上げるためには、写真の充実、説明文の多言語対応、競合との差別化ポイントの明確化などが効果的です。

決済手段を多様にする

訪日外国人にとって、自国で馴染みのある決済方法が利用できることは、購買決定の大きな要因となります。現金だけでなく、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、多様な決済手段に対応することで、インバウンド消費を取りこぼさない環境を整えることが重要です。

特に中国からの観光客に人気のあるAlipayやWeChat Pay、韓国のNaverPay、欧米でポピュラーなPayPalなど、国・地域によって利用頻度の高い決済手段は異なります。訪日外国人観光客の主要ターゲット国からの決済手段に対応することで、購買障壁を下げることができます。観光庁の調査によると、多様な決済手段を導入した店舗では、インバウンド売上が平均20%以上増加したという結果も出ています。

決済手段の多様化に加えて、外国語での料金表示や税金の扱いを明確にすることも重要です。免税対応店舗であることを店頭やWebサイトで多言語表示することで、訪日外国人の購買意欲を高めることができます。また、クレジットカード決済の場合、DCC(Dynamic Currency Conversion)サービスを導入することで、観光客は自国通貨での金額を確認できるため、安心して購入できるようになります。

まとめ

インバウンド集客は、単なる一時的なトレンドではなく、人口減少社会における持続的な事業成長のための重要な戦略です。訪日外国人の増加と消費額の拡大傾向を踏まえ、今こそ積極的に取り組むべき時期と言えるでしょう。

本記事で紹介した多言語SEO対策、SNSマーケティング、MEO対策、OTAとの連携、多様な決済手段の導入など、デジタルを中心とした施策を組み合わせることで、効果的なインバウンド集客が実現できます。地域の特色や独自の体験価値を活かしながら、国境を越えた新たな顧客層を開拓し、事業の成長と地域経済の活性化につなげていきましょう。

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