開催日は決まっているのに、販売開始日と先行・一般発売の段取り、終了日まで決められず手が止まる主催者がいます。早すぎて忘れられるのも、遅すぎて機会損失になるのも避けたい、というのが本音です。

早く売り始めれば安心だと思われがちですが、teket集計でも売れ行きは開催直前に伸びており、完売が見込めるイベントと一般集客型イベントでは最適な開始タイミングが正反対になります。

自分のイベントの客層を先に判断すれば、開始日・段階発売・終了日までを機会損失なく設計でき、集客見込み次第で販売システムの選び方まで迷わず決められます。

チケットの販売開始はいつからが目安か

販売開始の目安は、イベントの種類によって数週間から半年以上まで幅があります。ジャンルごとの相場を先に知っておくと、自分のイベントがどの位置にあるかを比較しながら決められます。

音楽ライブ・コンサート

音楽ライブの一般発売は、公演の1〜2ヶ月前が目安です。

実際に、米津玄師やYOASOBI、Mrs.GREEN APPLEのような規模の大きい公演でも、この相場は概ね共通しています。大型公演の先行発売はさらに早く、半年〜3ヶ月前から始まる例が目立ちます。

発売も段階を踏み、ファンクラブ先行→プレイガイド先行→一般発売という順番です。先行段階は抽選が中心で、一般発売でようやく早い者勝ちの購入に切り替わります。

先行販売の種類ごとの違いや申込方法、抽選に外れた後の動き方を知っておけば、自分のイベントの先行設計もスムーズに作れます。

チケットの先行販売とは?種類・違い・申込方法と売り切れ後の動き方を解説

スポーツ観戦

プロ野球はシーズン制で年間多数の試合を抱えるため、公演単位ではなく試合単位で発売日を設定します。

ファンクラブの会員ランクごとに発売日を分ける球団もあり、同じ一戦でも観戦日の何日も前から何段階かに分けて窓口が開いていく仕組みです。ランク別の日程差は後段で扱いますが、試合単位・段階発売という決め方そのものは音楽ライブと共通しています。

セミナー・カンファレンス

セミナーやカンファレンスは、開催の1ヶ月前〜数週間前に募集を始めるケースが中心です。

参加者が自分のスケジュールを確保する時間が必要なため、一定の前倒しは欠かせません。ただし音楽ライブほど長いリード期間を置く必要はなく、告知から開催までの日数は短めです。

地域イベント・フェス

地域イベントやフェスは、事情が変わります。

たとえば仕事や天候の都合を見てから参加を決める社会人の客層が中心になりやすく、相場も数週間前〜当日です。告知から購入までの期間は、音楽ライブより大きく短いのが特徴です。

都合がついたら行くという層が多いイベントほど、販売は開催直前に偏ります。早期に発売を始めても、席の埋まり方はすぐには変わりません。

開催日からチケット販売スケジュールを逆算して組む

開催日が決まったら、発売日はそこから逆算して組みます。目安の相場だけを見て思いつきで日付を決めると、実際の購入の動き方とずれてしまうことがあります。

販売の山は開催直前に来る

発売を早めても、購入者はすぐには動きません。

現に、teket内の15,537件・3,734団体を対象にした2022年6月26日から2023年6月26日までの調査データでは、開催12日前から当日までの間に全体の半数が購入されています。同調査では、開催当日と前日の2日間だけで2割に達し、曜日別では金・土・日の3日間で5割を超えることも分かっています。

発売日を何ヶ月前に置いても、購入の山ができる位置は開催の直前から変わりません。

客層で山の位置が変わる

同じ「直前集中」でも、客層によって山ができる位置は一様ではありません。個人主催の一般集客イベントでは、社会人客が仕事や予定を見てから動くため、開催直前に購入が急激に集中する事例があります。

ゲームやアニメ関連などもともと売り切れが起きやすいジャンルは様子が違います。販売開始直後から購入が集中し、コアファンを抱える公演は初週でほぼ完売して、直前に山ができません。

開催日から開始日を逆算する

山の位置がわかれば、発売日はそこから逆算して置けます。コアファン中心の公演なら、開催の1〜2ヶ月前に発売しても初動から売れていくため、早期発売のメリットがそのまま最初の勢いに乗ります。一方、社会人客中心のイベントは発売を早めても購入の動きが直前まで変わらない分、告知にかける予算や労力を開催前の数週間に集中させたほうが効率的です。

同じ考え方は広報のタイミングにも当てはまります。初週に山ができるイベントは発売直後の告知を厚くし、直前に山ができるイベントは開催1〜2週間前の広報を厚くします。

そのため、販売開始日は単独で決まるものではなく、会場確保や告知準備を含めたイベント企画全体のスケジュールの中に位置づける必要があります。

イベント企画の注意点とは?初めての主催で失敗を防ぐ確認ポイントを解説!

チケット販売を段階的に分けて設計する

一括で売り出すか、会員ランクやチャネルごとに複数回に分けて売るかは、固定客をどれだけ優遇したいかで変わります。段階を増やすほどきめ細かさは上がりますが、その分運用の手間も増えます。

段階に分ける理由

一度に売り出さず何回かに分けるのは、需要を見ながら固定客を優遇するためです。先行の申込数を見れば、当日券をどこまで残すか、追加公演を検討するかの判断材料になります。

ランクの高い会員から先に買える設計にすれば、来場頻度の高い層ほど良い席を確保しやすくなります。

先行販売を組み込む

たとえば北海道日本ハムファイターズの公式FAQでは、FAVメンバーのランク別に発売日を分けています。ランク5は水曜〜、ランク4は木曜〜、ランク3は金曜〜、ランク2・1は土曜〜、一般は日曜〜という順番です。

先行を「会員か一般か」の二択にせず、ランクごとに曜日をずらして4段階に組んだ点が特徴です。上位ランクほど早く購入できるため、長く応援してきた会員ほど席の選択肢が広がります。発売日を1日ずつ動かすだけで、優遇の度合いを細かく調整できる仕組みです。

ファイターズのように段階を増やすほど運用は複雑になりますが、ランク数が多い会員組織ほど、この方式で差をつけられます。

先行の段階が全て終わったあとの一般発売は、基本的に早い者勝ちで席が埋まっていく先着方式です。取れる人がどんな動き方をしているかを知っておくと、一般発売日の告知設計に役立ちます。

チケット先着販売とは?取れる人がやっているプレイガイド別のコツ

チャネルごとに発売日をずらす

オンラインと実店舗の両方で売る場合、そちらの発売日を後ろに置く設計もあります。たとえばファイターズの例では、店頭(ローソン・オフィシャルストア)は一般発売日の翌火曜日からの取り扱いです。

そこで、オンラインを先に開けることで、需要をまずオンラインに集約できます。店頭を数日遅らせても、オンラインで買えなかった層の受け皿になるため、販売機会を失いにくいのが利点です。窓口が複数あるイベントほど、この順序設計が効いてきます。

チャネルを増やしたり段階発売を組んだりする設計は、利用するチケット販売システムの手数料体系によってコストが変わってきます。

チケット販売のシステム利用料とは?手数料の種類・相場と抑え方を解説

チケット販売終了のタイミングで取りこぼしを防ぐ

前日の夜、まだ迷っている客がいます。販売が締め切られた瞬間に、その人は行かない側に回ります。

前日締切は直前層を取りこぼす

チケット購入が起きやすい時間帯は、前日深夜の22時から24時ごろと、当日朝の7時から10時ごろです。前日締切にしていると、この層はそもそも購入画面にたどり着けないため、行く気はあっても迷っている間に買い逃す人が出てしまいます。

実際に、SNS経由の流入は前日と当日朝に一気に増えます。友人の投稿を見て初めて存在を知る人、迷っていた予定を前日夜に決める人が動く時間帯だからです。ここで販売窓口が閉じていれば、この流入は購入に届きません。

だから、販売終了時間を開演後まで後ろにずらし、前日夜と当日朝にSNS投稿を重ねる運用があります。終了時刻を遅らせるほど、この駆け込み層を拾いやすくなります。

配信アーカイブ期間も売り続ける

配信チケットの購入は、前日までは伸び悩み、当日からアーカイブ配信開始後の数日にかけて大きく増えます。会場が存在しない配信は、視聴のハードルが低い分だけ購入の決断も後ろ倒しになります。

Peatixでは販売期限の初期設定がイベント開始時刻ですが、終了後24時間まで延長する設定が可能です。配信・アーカイブ形式なら、この仕組みを使わない手はありません。終了を延ばした分だけ、まだ迷っている人に販売する時間が残ります。

ただし、当日販売やアーカイブ販売の延長には、受付や決済確認への対応が前提として必要です。無人で運用できる体制が組めないなら、前日締切のほうが安全な選択です。

よくある質問

チケットは何回かに分けて販売したほうがいいですか

必ずしも分ける必要はなく、販売チャネルや会員ランクが1つしかないイベントなら一括販売のほうが運用はシンプルです。

一方で、ファンクラブ・プレイガイド・一般など販売の窓口が複数あるイベントでは話が変わります。需要を見ながら段階ごとに席の配分を調整できるため、混雑を避けつつ段階化の効果を出せます。

複数チャネル・段階発売に対応したシステムを相談する

先行販売と一般販売はどれくらい間隔をあければいいですか

間隔に絶対的な正解はなく、多くの主催者は先行の申込状況を確認してから一般発売日を決めています。

先行の結果を待たずに間隔を固定すると、需要を見ながら席を配分する狙いが薄れるため、数日から1週間ほどの余裕を持たせるケースが目立ちます。

販売開始が早すぎるとデメリットはありますか

あります。販売開始から購入までの期間が空きすぎると、告知の記憶が薄れて動きが逆に鈍くなることがあります。

特に一般集客型のイベントでは早期発売の情報が埋もれてしまい、直前になって告知を打ち直す手間が増える点に注意が必要です。

当日券はいつまで販売できますか

販売終了時刻をどこまで延長できるかは、利用しているチケット販売システムの設定次第で変わります。

それで、開演後や当日窓口でも売り続けたい場合は、延長設定に対応したシステムかどうかを事前に確認しておく必要があります。

当日券販売に対応したシステムを相談する

配信イベントのチケットはいつまで売るべきですか

配信の場合は視聴のハードルが低い分、当日や見逃し配信の期間に入ってから購入を決める人も一定数います。

アーカイブの公開期間をそのまま販売可能な期間に設定しておくと、配信を見て存在を知った人の購入機会を取りこぼしにくくなります。

まとめ

チケットの販売開始タイミングは、種別ごとの相場を目安にしつつ、最終的には開催日からの逆算で決まります。完売が見込めるイベントなら早期の先行販売を厚めに、一般集客型なら直前の駆け込み層を取りこぼさない設計を優先します。

先行・一般の段階発売でランクやチャネルごとに発売日をずらし、販売終了は前日締切に固定せず当日・配信アーカイブまで延ばす選択肢を検討してください。開始日と終了日の両方を客層に合わせて決めることが、機会損失を防ぐ最短ルートです。

段階発売やチャネル別の発売日、当日券の延長設定まで含めて自分のイベントに合わせたいなら、対応システムへの問い合わせから始めてみてください。

複数チャネル・段階発売に対応したシステムを相談する