電子チケットサービスの導入を検討しているイベント主催者の皆さん、手数料の比較だけで選んでいませんか?確かに、コスト削減は重要ですが、それだけでは最適なサービスを見つけられない可能性があります。
本記事では、電子チケットサービスの選び方を総合的に解説します。
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電子チケット導入のメリットとは?
電子チケットの導入は、イベント運営に多くの利点をもたらします。効率化とコスト削減を中心に、その主なメリットを詳しく見ていきましょう。
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業務効率化によるコスト削減できる
電子チケットの導入により、チケット発行や管理にかかる業務を大幅に効率化できます。従来の紙チケットでは、印刷や発送、在庫管理などに多くの人手と時間が必要でした。
しかし、電子チケットではこれらの作業が自動化され、人件費を大きく削減できます。
例えば、チケットの印刷や発送作業がなくなるため、その分の人員を他の重要な業務に振り分けられます。また、データ管理が容易になるため、チケット販売状況の把握や売上集計にかかる時間も短縮されます。
これにより、イベント運営全体の効率が上がり、結果としてコスト削減につながります。
不正転売防止と本人確認が簡単になる
電子チケットは、不正転売の防止や本人確認の簡易化において大きな強みを持っています。各チケットに固有のQRコードや暗号化された情報を付与することで、チケットの複製や転売を困難にします。
また、購入者のマイナンバーと連携させることで、イベント当日の本人確認も素早く確実に行えます。これにより、チケットの不正利用を防ぎ、本来のファンや参加希望者が公平にチケットを入手できる環境を整えられます。
こうしたセキュリティ機能は、イベントの信頼性を高め、主催者と参加者双方に安心をもたらすことができます。結果として、イベントの評判向上やリピーター増加にもつながる可能性があります。
当日の入場管理の効率を上げることができる
電子チケットの導入は、イベント当日の入場管理を大幅に効率化します。従来の紙チケットでは、目視確認や半券切りなどの作業に時間がかかり、入場口での長い待ち列ができることがありました。
電子チケットなら、スマートフォンなどに表示されたQRコードを専用機器で読み取るだけで、瞬時に入場処理が完了します。これにより、入場にかかる時間を大幅に短縮でき、参加者の満足度向上につながります。
柔軟な販売戦略で売上アップを実現できる
電子チケットシステムを活用すると、柔軟な販売戦略を立てやすくなります。需要に応じて即座に価格変更や追加販売を行えるため、売上の最大化が図れます。
例えば、人気の高いイベントでは、初期販売分のチケットが完売した後でも、追加席の設定や立ち見席の販売をすぐに開始できます。逆に、売れ行きが芳しくない場合は、早期割引や団体割引などの施策をタイムリーに実施できます。
さらに、電子チケットならではの特徴として、公演直前まで販売を続けられる点も挙げられます。紙チケットの場合、発送にかかる時間を考慮して販売を締め切る必要がありましたが、電子チケットなら当日券の概念さえも変わります。
このように、状況に応じた柔軟な対応が可能になることで、チケットの販売機会を最大限に活用し、売上アップにつなげることができます。
電子チケット導入のデメリットは?
電子チケットの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題や懸念点も存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対策を講じることが重要です。
高齢者や技術に不慣れな層への配慮が必要
電子チケットの利用には、スマートフォンやインターネットの操作スキルが必要です。このため、高齢者や技術に不慣れな層にとっては、チケットの購入や利用が難しくなる可能性があります。
例えば、スマートフォンを持っていない方や、アプリのダウンロードやQRコードの表示方法がわからない方もいるでしょう。こうしたデジタルデバイド(情報格差)は、一部の顧客層を取り逃がす原因となり得ます。
プライバシーとデータセキュリティの懸念がある
電子チケットシステムでは、購入者の個人情報や購買履歴などのデータが電子的に管理されます。このため、データの漏洩やプライバシー侵害のリスクが生じます。
特に、クレジットカード情報や住所、電話番号などのセンシティブな情報を扱う場合、高度なセキュリティ対策が必要不可欠です。
このリスクを軽減するためには、個人情報の取り扱い方針を明確に示し、同意を得る手続きを適切に行う必要があります。
電波状況による入場トラブルが起きる可能性がある
電子チケットは基本的にインターネット接続を前提としているため、会場の電波状況や通信環境に大きく依存します。
イベント当日、会場周辺で通信障害が発生したり、大勢の人が一斉にネットワークにアクセスしたりすると、チケットの表示や認証に問題が生じる可能性があります。
さらに、スマートフォンにチケットが表示できない、QRコードが読み取れないなどのトラブルが起きると、入場に時間がかかり、イベントの開始が遅れる恐れがあります。
一部のファン層からの反発への対応が必要な場合がある
長年、紙のチケットに慣れ親しんできたファンの中には、電子チケットの導入に抵抗を感じる人もいるでしょう。特に、チケットを記念として保管したい、または物理的なチケットの収集を楽しみにしているファンにとっては、電子化はマイナスに感じられる可能性があります。
これらの反発に対しては、電子チケットのメリットを丁寧に説明するとともに、記念品としてのグッズ付きチケットやNFTチケットを提供するなど、ファンの気持ちに寄り添った対応が求められます。また、正規の譲渡手続きを設けるなど、柔軟な運用方法を検討することも大切です。
手数料以外の重要な比較ポイントは?
電子チケットサービスを選ぶ際、手数料は確かに重要な要素ですが、それ以外にも考慮すべき点がたくさんあります。
以下では、手数料以外の主要な比較ポイントを詳しく見ていきましょう。
販売形態を複数設定することができるか
イベントの性質や規模に応じて、適切なチケット販売形態を選択できることは非常に重要です。
先着販売は、小規模なイベントや急な追加公演などに適しています。システムの安定性や、アクセス集中時の対応能力が重要なポイントとなります。
抽選販売は、人気の高いイベントで需要が供給を上回る場合に有効です。公平性を保ちつつ、スムーズに当選者を決定し、通知できる機能が求められます。
指定席販売では、座席の選択や管理が容易にできるかどうかがポイントです。座席表の視認性や操作性、複数席の連続選択機能などが重要です。
これらの販売形態を柔軟に切り替えられるシステムであれば、様々なイベントに対応できます。また、複数の販売形態を組み合わせて使用できる機能があれば、より戦略的なチケット販売が可能になります。
決済方法が複数あるか
購入者の利便性を高めるためには、多様な決済方法に対応していることが重要です。
クレジットカード決済は基本ですが、セキュリティ対策や、多くのカードブランドへの対応も確認が必要です。
コンビニ決済は、クレジットカードを持たない層や、オンライン決済に不安を感じる人にとって重要な選択肢です。
その他、電子マネーやQRコード決済、銀行振込など、幅広い決済手段に対応していることが望ましいでしょう。特に、若年層に人気の新しい決済方法にも柔軟に対応できるかどうかは、将来的な拡張性を考える上で重要なポイントです。
入場管理システムの効率できるか
当日の入場管理をスムーズに行えるかどうかは、イベントの成功に大きく影響します。
QRコードや電子チケットの読み取り速度、複数の入場口での同時処理能力、オフライン対応の有無などが主な比較ポイントとなります。
また、不正入場の防止機能や、入場状況のリアルタイム把握、急な座席変更への対応能力なども重要です。
さらに、入場管理用のハードウェア(QRコードリーダーなど)の貸し出しサービスがあるかどうかも、導入時の初期コストを抑える上で重要な要素となります。
マーケティング支援ツールの有無と質
効果的なマーケティング活動を行うためのツールが充実しているかどうかも、重要な比較ポイントです。
顧客データの分析機能、メールマガジンの配信システム、SNSとの連携機能などが基本的なツールとして挙げられます。
特に、過去の購買履歴に基づいた顧客セグメント機能や、動的価格設定機能などがあれば、より戦略的なチケット販売が可能になります。
また、販売状況や顧客動向をグラフや図表で視覚的に把握できるダッシュボード機能の有無も、運営効率を上げる上で重要です。
これらのツールの使いやすさや、カスタマイズの柔軟性なども比較すべきポイントです。
ユーザーインターフェースの使いやすさを評価
最後に、システム全体のユーザーインターフェース(UI)の使いやすさは、日々の運用において非常に重要です。
主催者側の管理画面については、直感的な操作性、必要な情報へのアクセスのしやすさ、設定変更の容易さなどが評価ポイントとなります。
一方、購入者向けの画面では、チケット選択から決済までの導線のわかりやすさ、モバイル端末での表示の最適化、多言語対応の有無なども重要です。
また、カスタマーサポートの充実度も忘れてはいけません。オンラインヘルプやFAQの充実度、問い合わせ対応の迅速さなども、長期的な運用を考えると重要な要素です。
以上の点を総合的に比較評価することで、単に手数料だけでなく、運用効率や顧客満足度を高められる電子チケットサービスを選択することができます。
主要な電子チケットサービスの手数料比較
電子チケットサービスを選ぶ際、手数料は重要な検討事項の一つです。
しかし、単純に数字だけを比較するのではなく、各サービスの特徴や提供される機能、そして手数料の構造を総合的に評価することが大切です。
ここでは、日本の主要な電子チケットサービスの手数料体系を詳しく見ていきます。
チケミー
チケミーは、革新的なNFTチケット販売プラットフォームとして注目を集めています。その手数料体系は、シンプルでありながら主催者にとって魅力的な内容となっています。
チケミーでチケットを販売する際の手数料は、売上総額のわずか5%のみ。この手数料には、決済手数料も含まれているため、追加の費用を気にする必要はありません。チケット購入者に対しても、チケット代金の5%という明瞭な手数料設定となっており、利用しやすさ
さらに、チケミーはNFT技術を活用しているため、セキュリティや偽造防止などの付加価値がこの手数料に含まれています。これにより、チケットの不正利用や転売問題に悩むイベント主催者にとって大きなメリットとなっています。
特筆すべきは、チケミーの2次流通機能による収益還元システムです。チケットがリセールされた場合、売買額の一部が主催者に還元されるため、イベントの収益最大化が可能です。この独自の仕組みにより、主催者は追加の収入を得ることができ、手数料負担を軽減することができます。
さらに、チケミーは海外の顧客にもオンラインでチケットを販売できるため、グローバルな市場へのアクセスが可能です。これは、国内外のファンを獲得したいアーティストやイベント主催者にとって大きなメリットとなります。
LivePocket-Ticket
LivePocket-Ticketは、シンプルな手数料体系と使いやすいインターフェースで知られる電子チケットサービスです。手数料は販売価格の5%で固定されており、これには決済手数料も含まれています。この明快な料金体系は、初めてイベントを主催する人や、予算管理を重視する主催者にとって大きな魅力となっています。
LivePocket-Ticketの特徴として、無料イベントの場合は手数料が完全無料である点が挙げられます。これは、小規模なコミュニティイベントや試験的なイベントを開催する際に非常に有利です。また、チケットのデザインをカスタマイズできる機能や、販売状況をリアルタイムで確認できるダッシュボードなど、使いやすさを重視した機能が充実しています。
さらに、LivePocket-Ticketは決済方法も豊富で、クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込に対応しています。これにより、幅広い年齢層の参加者にとってチケット購入のハードルを下げることができます。
ただし、大規模なイベントや複雑な座席管理が必要なイベントの場合、機能面で物足りなさを感じる可能性があります。
Peatix
Peatixは、国際的に展開する電子チケットサービスで、多言語対応や海外からの参加者対応に強みを持っています。手数料構造は、販売価格の4.9%に加えて、1枚あたり99円のシステム利用料がかかります。この料金体系は、中〜高価格帯のチケットを販売する際に比較的有利に働く傾向があります。
Peatixの特徴的な機能として、SNSと連携したマーケティングツールが充実している点が挙げられます。例えば、Facebook上でチケットを直接販売できる機能や、参加者同士のコミュニケーションを促進するコミュニティ機能があります。これらの機能は、イベントの告知や集客に力を入れたい主催者にとって非常に魅力的です。
また、Peatixは多彩な決済方法に対応しており、クレジットカード、コンビニ決済、PayPalなどを利用できます。特にPayPalへの対応は、海外からの参加者にとって利便性が高いポイントです。
さらに、Peatixはイベント運営のサポート機能も充実しています。例えば、当日の受付管理を効率化するためのモバイルアプリや、参加者へのアンケート機能などが用意されています。これらの機能は、イベント全体の質を向上させるのに役立ちます。
ただし、1枚あたりの固定手数料(99円)があるため、低価格のチケットを大量に販売する場合には、他のサービスと比べて全体の手数料率が高くなる可能性があります。そのため、イベントの価格帯や販売予定枚数を考慮して選択することが重要です。
TIGET
TIGETは、柔軟な料金プランと豊富な機能で知られる電子チケットサービスです。基本的な手数料は販売価格の5.5%で、これに加えてイベントごとのシステム利用料がかかります。システム利用料は、イベントの規模や必要な機能に応じて変動します。
TIGETの最大の特徴は、主催者のニーズに合わせてカスタマイズ可能な点です。例えば、複数の料金プランが用意されており、イベントの規模や頻度に応じて最適なプランを選択できます。また、APIを提供しているため、自社のウェブサイトやアプリと連携させることも可能です。これは、独自のブランディングを重視する主催者や、既存のシステムとの統合を考えている企業にとって大きな魅力となっています。
TIGETは、チケットの販売だけでなく、イベント運営全体をサポートする機能も充実しています。例えば、参加者管理機能、アンケート機能、メッセージ配信機能などがあり、イベント前後のコミュニケーションを効率的に行うことができます。また、当日の入場管理をスムーズに行うためのモバイルアプリも提供しています。
決済方法に関しては、クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込に対応しており、幅広い参加者のニーズに応えることができます。さらに、団体割引や早割などの複雑な割引設定にも対応しているため、戦略的な価格設定が可能です。
ただし、システム利用料が別途かかるため、小規模なイベントや低価格のチケットを販売する場合には、全体の手数料率が他のサービスと比べて高くなる可能性があります。そのため、イベントの規模や性質、販売戦略に応じて、総合的に判断することが重要です。
ZAIKO
ZAIKOは、特にライブ・エンターテインメント業界向けに特化した機能を持つ電子チケットサービスです。手数料は販売価格の8〜20%と、幅広い設定になっていますが、これはイベントの規模や性質、必要な機能に応じて変動します。
ZAIKOの最大の特徴は、ライブストリーミングやオンラインイベントとの親和性の高さです。チケット販売からライブ配信、アーカイブ配信まで一貫して管理できるプラットフォームを提供しており、これはコロナ禍以降のイベント形態の多様化に対応する上で大きな強みとなっています。
また、ZAIKOは不正転売対策にも力を入れています。顔認証システムを使った本人確認や、チケットの二次流通市場の提供など、安全で公平なチケット流通を実現するための機能が充実しています。これは、人気アーティストのライブなど、転売問題が懸念されるイベントの主催者にとって非常に魅力的な点です。
ZAIKOの特徴的な機能として、ファンクラブ機能や会員制度との連携が挙げられます。これにより、常連客や熱心なファンに対して優先的なチケット販売や特別なサービスを提供することが可能になります。また、グッズ販売機能も備えており、チケットとグッズを一括で管理・販売できるのも大きな利点です。
決済方法に関しては、クレジットカード、コンビニ決済、キャリア決済など、多様な選択肢を提供しています。また、海外からの購入にも対応しており、国際的なイベントの開催にも適しています。
ただし、手数料率が他のサービスと比べて高めに設定されている点には注意が必要です。これは、提供される機能の多さや専門性の高さを反映していますが、小規模なイベントや予算の制約が厳しいケースでは、他のサービスの方が適している可能性があります。イベントの規模や特性、必要な機能を慎重に検討し、費用対効果を見極めることが重要です。
e+(イープラス)
e+は、日本の電子チケット業界の大手として知られ、幅広いジャンルのイベントに対応しています。手数料は一般的に販売価格の8~10%程度で、これには決済手数料も含まれています。ただし、イベントの規模や性質によって変動する可能性があります。
e+の最大の特徴は、その知名度と利用者の多さです。多くの消費者がe+のアプリやウェブサイトを日常的に利用しており、これは集客面で大きな強みとなります。特に、大規模なコンサートや人気アーティストのライブ、大型スポーツイベントなどの主催者にとっては、e+のプラットフォームを利用することで、より広い層へのリーチが期待できます。
また、e+は全国のファミリーマートでのチケット発券サービスを提供しており、これは電子チケットに抵抗がある層や、スマートフォンを持っていない層にもアプローチできる点で大きな利点となっています。
e+の特徴的な機能として、複雑な抽選販売システムがあります。人気の高いイベントでよく利用される先着販売と抽選販売の組み合わせや、ファンクラブ会員向けの優先販売など、多様な販売方式に対応しています。これにより、公平性を保ちつつ、効果的なチケット販売戦略を立てることが可能です。
決済方法に関しては、クレジットカード、コンビニ決済、ペイジー決済など、多様な選択肢を提供しています。また、海外からの購入にも対応しており、インバウンド需要のあるイベントにも適しています。
ただし、e+の手数料率は他の電子チケットサービスと比べてやや高めに設定されている点には注意が必要です。これは、提供されるサービスの質や知名度、集客力を反映していますが、小規模なイベントや予算に制約がある場合には、他のサービスの方が適している可能性があります。
また、大手サービスであるがゆえに、カスタマイズや柔軟な対応が難しい場合もあります。そのため、イベントの規模や性質、販売戦略、必要な機能などを総合的に検討し、自身のイベントにとって最適なサービスを選択することが重要です。
まとめ
電子チケットサービスの選択は、イベント運営の効率化と成功に直結する重要な決断です。
本記事では、導入のメリットとデメリット、手数料以外の比較ポイント、主要サービスの手数料比較、そして選び方のポイントを詳しく解説しました。単に手数料の高低だけでなく、サービスの機能、使いやすさ、サポート体制、将来的な拡張性など、多角的な視点で比較検討することが大切です。
これらの要素を総合的に評価し、自身のイベントの規模や特性に合わせて最適なサービスを選ぶことで、効率的なイベント運営と参加者満足度の向上が実現できるでしょう。