イベントグッズの販売サービスを比較していると、個人クリエイター向けと主催者向けのサービスが同じ検索結果の中に並び、目的に合う一社をなかなか絞り込めなくなります。

イベント特化型のサービスは、初期費用も月額もかからず売れた分の手数料だけで使えるものが目立ちます。これは当日会場での受け渡しやチケット連動を想定して設計されているためで、個人向けの受注生産サービスとは費用構造そのものが異なります。

受注生産・ネットショップ開設・イベント特化という3タイプの違いと、当日会場での受け渡しやチケット連携までどこまで任せられるかを比較すれば、自分のイベント運営に合うサービスを絞り込めるようになります。

販売サービスは目的別に3タイプに分かれる

イベントグッズを売れるサービスと一口に言っても、目的はさまざまです。検索すると、個人が趣味のグッズを作って売るためのサービスと、イベント主催者が会場やオンラインでグッズをさばくためのサービスが、同じ一覧に並びます。ここを分けずに比べても候補は絞れません。見分ける軸は、当日会場での受け渡しまで運用として任せられるサービスかという一点です。

手軽に作って売れる受注生産サービス

まず、画像を用意するだけで始められるタイプ。SUZURIは画像を1枚アップロードすれば、製造から発送まで代行してくれます。pixiv FACTORYなら、アクリルグッズを1個から作ってBOOTHで売り出せる手軽さがあります。注文が入ってから作る受注生産なので、売れ残りの在庫を抱えずにすむのが利点。

とはいえ、もともとは個人が趣味やブランドで少しずつ売る使い方に寄ったサービスで、主催者が大量のグッズを会場でさばく用途には向きません。

自分のネットショップを作る構築サービス

同じ「自分で売る」でも、こちらはブランドとして長く売り続けるための店づくりに寄っています。BASEは入荷前の先行予約や抽選販売に加え、特定の人にだけ商品ページを見せるシークレットECまで備えます。

Shopifyなら大規模なECサイトまで組めますが、電話サポートや一部のアプリは英語のみです。STORESも含め、想定しているのはオンラインで注文を受けて発送する流れで、当日に会場でグッズを手渡す運用は初めから入っていません。

イベント運営に特化した販売サービス

この系統のサービスは、チケット販売と連動してグッズを売れるように作られています。イベント運営そのものに組み込むタイプで、チケットを申し込んだ人にそのままグッズを見せ、当日は会場で受け取ってもらう流れです。こうした売り方を見込んで設計されている点が、さきほどのネットショップ系との違いです。そのため費用も単発イベントに寄せてあり、固定費をかけずに使った分だけで済むものが多くなっています。

こうして見ると、グッズを作る機能ではなく、当日までにグッズをどう売り、どう渡すかという運営の流れに沿っています。たとえばチケミーのように、チケットとグッズを同じ場所で扱えるサービスもこの系統です。主催者がまず候補にすべきは、この当日の運営まで見据えたタイプでしょう。

なお、グッズ販売の前提となるチケット側の仕組みそのものを見直したい場合は、【2026年版】チケット販売手数料13社を比較!相場や選び方など目的別に解説!で選び方を整理しています。

グッズはオンラインと当日会場のどちらで売るべきか

チケット代だけでは赤字になりやすく、グッズで黒字を狙う。主催者の間ではよく聞く話です。ただ、グッズをどう売るかを決めないままサービスを探すと、途中で行き詰まります。

オンラインで送るのか、当日会場で手渡すのか。この一点を先に決めないと、どのサービスも選べません。売り場所が決まれば、候補はぐっと絞れます。

オンラインで事前に売って発送する場合

開催前からグッズが売れます。ここが当日販売との一番の違いです。そのため、何がどれだけ出るか、開催前に数字として見えてきます。

同様に、売れ筋や人気商品の傾向もつかめるでしょう。この読みがあれば、会場へ持ち込むグッズの種類や数量の見当がつきます。

過剰な在庫も、当日の品切れも減らせます。遠方で会場に足を運べないファンにも届くのは、オンラインならではです。ただし、売れた分を一つずつ梱包して発送する手間まではなくなりません。

当日会場で手渡しする場合

当日会場で手渡すと決めると、選べるサービスが大きく入れ替わります。梱包や発送の手間がなくなるのは分かりやすい利点ですが、その前に条件が一つあります。

当日会場での受け取りに応じたサービスを選ぶ必要がある点です。BASEやShopifyのようなネットショップ作成サービスは、オンラインで売って発送する流れを想定していて、当日会場で手渡すという運用はそもそも想定の外。渡すと決めた時点でこうしたサービスは選択肢から外れ、残るのはイベントの当日運用に合わせて作られたサービスだけになります。

事前決済して当日渡す場合

オンライン発送と当日手渡し。この二つは、どちらか片方だけを選ぶ話ではありません。事前に決済だけ済ませ、商品は当日会場で渡す組み合わせも可能です。先払いなら、注文の数が事前に確定します。

何個用意すればいいかも、当日を待たずに固まります。だから作りすぎも、数が足りない事態も起きにくくなります。会場では、確保しておいたグッズを渡すだけです。両取りを狙うなら、事前決済と当日会場での受け取り、その両方に対応したサービスが要るでしょう。

主催者向けサービスならではの当日物販機能

会場の物販ブースでは、代金を受け取り、釣り銭を数え、商品を渡すまでの一連の作業が一人ずつ発生します。開演前の限られた時間に人が集まれば、会計待ちの行列はすぐ伸びます。こうした当日運用に特化した機能は、チケット申込みと連動した「ついで買い」も含めて、汎用のネットショップ作成サービスには備わっていません。

グッズの当日会場受け渡し

事前決済と当日会場受取。イベント特化型のサービスはこの両方に対応するものが多く、購入者は開演前にオンラインで支払いを済ませ、会場では商品を受け取るだけで済みます。

事前決済にすれば、会場での会計待ちの行列を減らせます。釣り銭のやり取りも、その場での決済端末の操作もいりません。

さらに、受け渡しの方式も選べます。会場受取を選ぶと、グッズの発送作業そのものがなくなります。梱包し、宛先を貼り、配送業者へ持ち込む負担も消えます。

その結果、来場者は当日その場で受け取り、運営者は発送の工程を抱え込みません。行列の短縮と発送作業の削減という効果が、来場者と運営者の双方に及びます。

チケット購入者へのグッズ告知

告知の起点は、チケットの購入画面です。チケット購入の各段階にグッズ販売ページへの導線を置ける仕組みが、ここに備わっています。

申込みの手前、決済の画面、完了後の案内という複数の段階に導線が並びます。チケットを申し込む来場者は、その流れのなかで自然とグッズのページに触れるでしょう。

そのため、チケット購入時にグッズが目にとまれば、そのまま「ついで買い」が起きます。告知のタイミングを別につくる必要はありません。イベントに行くと決めた来場者へ、購入の動線上でグッズを見せられます。

出演者ごとのグッズ出品

何組もの出演者が集まるライブでは、グッズの登録そのものが主催者の負担になりがちです。全員分の商品を預かって写真を撮り、値段を聞き取り、一つずつ登録していけば、それだけで開催前の時間が削られていきます。

イベント特化型のサービスには、この作業を出演者それぞれに任せられる作りのものがあります。各アーティストが自分のグッズを自分で出品でき、主催者が全員分をまとめて預かり代理で登録する手間はいりません。

パーソナライズ商品の販売

既製のグッズだけでなく、購入者一人ひとりに合わせた商品も販売できます。サービスによっては、サイン入りチェキや宛名の入った年賀状といったパーソナライズ商品まで扱えます。

こうした一点物は、汎用のネットショップでは出品対象として組みにくい商品です。

サービスにかかる費用の内訳と相場

販売サービスの費用は、大きく二つに分かれます。契約するだけでかかる固定費と、売れた分だけかかる手数料です。どちらの型に近いサービスかで、単発イベントに向くかどうかが変わります。

固定でかかる費用

固定費は、契約時にかかる初期費用と、毎月かかる月額の二つに分かれます。常設のECを長く運用する事業者向けのプランでは、たとえば次のような料金がかかります。

サービス初期費用月額
make shop(プレミアムプラン)11,000円13,750円(1か月契約)
カラーミーショップ(レギュラープラン)3,300円4,950円

なお、make shopの月額は契約期間によって変わり、上の金額は1か月契約の場合です。初期費用こそ最初の一度きりですが、月額は開催の有無に関係なく毎月かかり続けます。この料金体系は単発のイベント物販向きとは言えず、年に一度や数日だけのイベントでは、使わない月の月額がそのまま持ち出しになります。

販売ごとにかかる手数料

もう一つの費用が、グッズが売れたときだけかかる手数料です。イベント特化型サービスの中には、初期費用も月額もなく販売手数料だけで使えるものがあり、手数料率は5.5%程度が目安です。売れた金額に対して手数料が差し引かれる仕組みで、固定の負担はありません。たとえば1万円分売れて手数料は550円、売れなければ費用は一切かかりません。

同様に、STORESのフリープランも月額はなく、決済手数料5.5%〜で始められます。初期費用ゼロで始められるため、来場者の少ない小規模なイベントでも赤字になりにくいです。だからこそ、売上が読みにくい単発イベントほど、この料金体系が向きます。手数料型なら、売れない月に月額を払い続ける心配がいりません。

グッズ以外にかかる会場費や人件費まで含めたイベント全体の費用感は、イベント費用の相場はいくら?規模・種類別の目安と内訳を解説でまとめています。

受注生産にすれば手間は本当になくなるのか

在庫リスクをなくす手段として、受注生産がよく挙がります。注文が入ってから作れば、売れ残りは出ません。手元に残る作業は、そこから先にあります。

受注生産で在庫を抱えずに済む

受注生産は、注文が確定してから製造に入る売り方です。イベント前に受注期間を設け、集まった数だけを業者に発注します。

そのため手元に在庫を置かず、売れ残って費用だけが残る事態を避けられます。数十個を先に刷って会場へ運び、はけずに持ち帰るという展開にもなりません。刷る数を売れた数に合わせられるので、初めてのイベントや単発の企画で数が読めなくても、費用を大きく外しにくくなります。

注文が増えたときの発送負担

在庫が消えても、発送と梱包の作業はそっくり残ります。受注販売で一番の山場になるのが、この発送作業。

たとえば匿名配送を使うと、注文者ごとに発行されるQRコードを一件ずつ表計算にまとめ、コンビニで印刷してから荷物に貼ります。注文数が少ないうちは手作業でも捌けるでしょう。ただし注文が伸びるほど一気に重くなり、一件ごとの単純作業が重なっていきます。

さらに、手間がかかるのは梱包だけではありません。金具の向きやテープの位置を揃えるひと手間もあり、これも注文の数だけ増えていきます。

チケットとグッズをセットで売る選択肢

チケットを買った人は、そのイベントに一番お金と時間をかける気のある層です。その人たちにグッズを届けられるのがセット販売の強みですが、もう一つ見逃せないのが、当日を待たずに売上の一部が先に確定することです。

開催前の申込みと連動してグッズが動くので、会場に持ち込む数量の見当も早い段階でつきます。売れ行きを見ながら追加を判断できるのは、チケットと販売の窓口が地続きになっているからです。

チケットにグッズを組み合わせる企画そのものの作り方は、グッズ付きチケットの企画ガイド!種類から価格設定まで解説で取り上げています。セット券の設計や特典の付け方まで踏み込みたい主催者は、あわせて読むと判断の材料が増えます。

自分のイベントでチケットとグッズをどうつなぐか決めきれないときは、販売サービスへの相談から運用に合わせた組み方を詰められます。

まとめ

イベントグッズを売るサービスは数が多く、作れるアイテムの幅や見た目から比べ始めると迷いやすくなります。とはいえ、見る順番を先に決めておくと候補は自然に絞られます。起点になるのは、グッズをオンラインで送るのか、当日会場で手渡すのか、その両方をやるのかという売り場所です。ここが定まらないまま機能の一覧を眺めても、どれが自分のイベントに合うかは決められません。

オンラインで先に売って発送するなら汎用のネットショップでも回せますが、当日会場での受け渡しを条件にすると、対応できるサービスはぐっと絞られます。作る側の機能がどれだけ揃っていても、当日の運用まで預けられるかどうかは別の話になります。

売り場所を決め、そのうえで当日の手間をどこまで任せたいかを並べる。この順で見ていくと、比べるべきサービスは数点に落ち着きます。

デジタルコンテンツを扱いたい場合は、以下も参考になります。

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