2024年11月29日(金)からBLUE SQUARE YOTSUYAでロングランで上演される

Theatre Polyphonic 第7回公演 ミュージカル「翼の創世記」Genesis of Wings。

今回のインタビューではライト兄弟を裏で支えたキャサリン・ライトという1人の女性にフォーカスを当て、企画・脚本・作詞・演出を手掛ける石丸さち子さんと、キャサリン・ライト役を務める門田奈菜さん、福室莉音さん、山﨑玲奈さんの4人に語っていただきました。

Story

老いたオーヴィル・ライトは、毎日同じ時間に、起き、食事し、小さな発明を続け、誰と話すこともなく、夜を迎え、眠りに就く。彼の日々、二十四時間の積み重ねは、追想で支えられている。

一人静かに、孤独という静かなる狂気と暮らしていれば、兄ウィルバーと妹キャサリンの声が聞こえてくる。

世界初の動力有人飛行をともに成し遂げたライト兄弟の偉業は、人間の自由と可能性を希求し開拓する、輝かしい栄光の物語。それは前人未踏の地を行く、不屈の精神と、教育ではなく自らの好奇心で勝ち得た知性によるものだった。

またそれは、双子のように思われながら全くタイプの違う兄と弟の、愛の変遷の物語でもあり、自らの夢を捨てても兄に尽くした妹の心の物語でもあった。

1903年12月17日。彼らのファーストフライから、世界は音をたてて変わっていく。兄弟の夢の飛行機械は、第一次世界大戦で、偵察機、ひいては戦闘機として急速に発展を遂げていく……。

ライト兄弟の初の飛行成功を裏で支えたキャサリン・ライト

—-今回は石丸さんが手がける舞台作品「翼の創世記」Genesis of Wingsについて、特にキャサリン・ライトにスポットを当てた内容でお話を伺えればと思います。

石丸:キャサリンの存在や、彼女がライト兄弟に与えた影響をぜひ多くの方に知っていただきたいですね。

—-私たちのチケットサービス「TicketMe」では、「あるべき場所に、あるべき価値を届ける」というミッションを掲げています。この舞台を通じて、石丸さんの伝えたい想いをお客様にしっかりとお届けできればと思っております。まず、キャサリン・ライトの見どころについて教えていただけますか?

石丸:そうですね、キャサリン・ライトを象徴するようなソロの歌があるんですが、これがとても素晴らしい曲なんです。キャサリン役には3人の俳優が起用されており、それぞれ全く異なる歌声と表現力を持っています。キャサリンが兄弟を支えた「強さ」と「明るさ」を描くことに力を注いでいるので、ぜひそこに注目してほしいですね。3人の歌声が異なることで、キャサリンという人物の多面性が伝わるようになっています。

—-キャサリンの存在なくしてライト兄弟の成功は語れないと言われるほど、彼女は特別な役割を果たしていたようですね。作品を通じて、彼女のどのような点を強調して描かれたのでしょうか?

石丸:おっしゃる通りです。キャサリンは兄弟が挫折しかけた時に、笑顔で励まし、再び前を向かせる役割を担っていました。また、彼らの業績をスクラップブックに記録し、その歴史を後世に伝え残すために努めました。キャサリンがいなければ、ライト兄弟の飛行機はもしかしたら飛び立つことがなかったかもしれません。

彼女は学問にも励み、教師としてのキャリアを持ちながら、女性参政権運動にも関わるなどもしていましたが、最終的には兄弟のサポートを優先しました。まさに、強い信念と愛情で兄弟を支えた影の立役者ですね。

—- キャサリン役には門田さん、福室さん、山﨑さんが抜擢されましたが、キャスト選考にはどのようなこだわりがありましたか?

石丸:門田奈菜さんは「この役を演じたい」という情熱がオーディションの場でもひしひしと伝わってきました。私の作品に挑戦したいという強い意志が感じられたんです。彼女の透明感と芯のある歌声が、キャサリンの強さと繊細さを同時に表現できると思いました。

山﨑玲奈さんは、17歳という若さにもかかわらず、キャサリン役を30代から50代まで幅広く演じるという意欲が素晴らしかったです。彼女の天才的な歌唱力が、この挑戦を後押ししてくれると思っています。彼女のキャリアにとっても大きなステップとなる役になるはずです。

福室莉音さんは、彼女の持つリズム感や音楽的な感性に惹かれました。映画での彼女の歌声はしっとりとした印象がありましたが、舞台上ではグルーヴを感じさせる表現が求められます。彼女がこの舞台を通じて新しい一面を開花させてくれることを期待しています。

—-キャサリンという役柄について、気の強さや彼女の内面の強さをどう捉えているのでしょうか?

石丸:彼女の強さの原点は「愛」だと思います。大切な人を支えたい、守りたいという気持ちが彼女を強くさせたのです。一人ではなかったからこそ、兄弟のために強く前を向くことができたのでしょう。また、稽古では「強さとは明るさでもある」ということを大切にしています。彼女は弱さを見せることなく、明るさを武器にして兄弟を励まし続けたのです。

—-感動的なお話です。キャサリンが兄弟を支えたように、役を通じて演者の皆さんがそれぞれのキャサリン像をしっかりと形にしているのですね。
門田さんにお伺いしたいのですが、初めてこの役が決まった時の気持ちを教えていただけますか?

門田:石丸さんの作品に出られると聞いて、本当に嬉しかったです。実は10年前に石丸さんの舞台を観劇し感動して、いつか石丸さんの作品に出演したいと思い続けていました。ですから、この舞台に立てることは自分にとって大きな夢でしたし、キャサリンという強く優しい女性の役をいただけて、とても光栄に思っています。彼女の強さと優しさを、全身全霊で表現したいと毎日稽古に励んでいます。彼女の愛や情熱が観客に伝わるように演じたいと思っています。

—-素敵ですね!山﨑さんはどんな気持ちでしたか?

オーディションで台本を読んだ時、キャサリンが30代である設定に少し驚きました。年上の役を演じるのは初めてで、最初は緊張もありましたが、「挑戦したい」という気持ちが強かったですね。キャサリンは自分の夢や兄弟への支えといったさまざまな役割を担っている女性です。彼女の強さや葛藤を、私のような10代にも感じてもらえるように演じたいと思っています。

—-挑戦意欲に満ちていて素晴らしいですね。福室さんはいかがですか?

福室:キャサリンの静かな強さや、時折見せる孤独感にとても惹かれました。支える存在でありながら、彼女もまた人間として葛藤し、悩みながら進んでいた。その姿が心に響きました。彼女の葛藤や心の揺れを音楽と演技で繊細に表現できたらと考えています。

—-最後に、石丸さん、この舞台を通してどんなメッセージを届けたいですか?

石丸:キャサリンの物語を通して、「夢を支える人の存在がどれほど大切か」を感じてもらえたら嬉しいです。成功の陰には必ず支えてくれる存在がいて、キャサリンはまさにその象徴です。観客の皆さんには、この舞台でキャサリンの強さ、愛、そして支えの大切さを受け取っていただきたいですね。

今回の対談でキャサリン・ライトという1人の女性の「愛」「強さ」を憑依させた3名の演技に注目です。

【公演情報】

ミュージカル「翼の創世記」
企画・脚本・作詞・演出:石丸 さち子
作曲・音楽監督・演奏:森 大輔
上演期間:2024年11月29日(日)〜12月25日(水)
劇場:BLUE SQUARE YOTSUYA

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