チラシを刷ってSNSにも投稿したのに、申込が思うように伸びません。媒体が悪いのか、予算が足りないのか、導線に問題があるのか判断がつかないまま、開催日だけが近づいてきます。

広告は媒体ごとに届く年代が大きく偏り、同じSNSでも十代と六十代とでは届き方に大きな差が出ます(総務省調査)。手法を選ぶ前に、自分のイベントの参加者層に合わせて絞り込む視点が欠かせません。

参加者の年代と予算という2つの物差しで手法を絞り込み、広告と申込ページを一続きに設計すれば、限られた予算でもどの広告にいくら使い、どう申込につなげるかまで判断できるようになります。

イベント集客の広告にはどんな手法があるか

知名度ゼロの新しいイベントは、すぐ隣で開かれている似たような企画にかき消され、名前を覚えてすらもらえません。初めて主催する人ほど、まず広告を出そうと動きますが、SNSからチラシ、駅の広告まで選択肢が並ぶと、どれから手をつければいいか分からなくなります。手法は大きく、ネット上で届けるオンラインと、街なかや紙で届けるオフラインに分かれ、届く相手も届き方もまるで違います。

SNS広告で見込み客に届ける

SNS広告は、スマホを日常的に開く相手へ直接届けられる手法です。

実際に、出稿先の候補はInstagram、LINE、YouTube、TikTokなど幅広く、それぞれ支持される年代層が異なります。TikTokは10代・20代の利用率が高く、LINEは10代から60代まで年代を問わず使われる媒体です。写真や動画で雰囲気を伝えるのが得意な媒体もあれば、文字中心の告知に向く媒体もあり、届けたい相手が決まらないまま出稿先だけ先に決めると空振りします。

媒体ごとの年代差を踏まえた組み合わせ方は後述します。

チラシで地域に直接配る

紙のチラシやポスティングは、狙った地域の生活動線に直接情報を届けられる手法です。たとえば地域の保育園や幼稚園にポスターを貼らせてもらう、児童館にチラシを置いてもらう、公園にいる親子へ声をかけるといった動き方があります。

数を配るだけでは目に留まらず、置き場所や手渡す相手を選ぶほど届き方は大きく変わります。

駅の広告で不特定多数に見せる

新宿アルタビジョンの前を通る人は、平日平均20万人・土日平均23万人以上にのぼります。これほどの人数に触れれば認知は一気に広がりますが、その大半はイベントの対象ではない通行人です。

駅ビジョンや電車の中吊り広告は、狙った層以外にも大量に露出する手法であり、広く名前を知ってもらえても、見た人がそのまま申込につながるとは限りません。

自分のイベントに合う広告の選び方

チラシもSNSもとりあえず全部やろうと手を広げて、気づけば予算も時間も足りなくなります。初開催の主催者がまず陥るのがこの状態です。「チラシだけ」「SNS発信だけ」では初開催イベントは集客できない、というのはほとんどの初心者が通る失敗です。

やみくもに全部を試す前に、選ぶための物差しを持てば手法は自然と絞れます。物差しは2つ、参加者の年代と、動かせる予算です。

参加者の年代でSNSを使い分ける

どのSNSに人がいるかは、年代で大きくずれます。

たとえばFacebookの10代利用率は13.6%にとどまる一方、LINEは10代から60代までほとんどの年代で80%以上が利用します(総務省調査)。同じSNSという言葉でひとくくりにすると、この差を見落とします。10代を呼びたいイベントにFacebookを選ぶと、そもそも相手がその場所にいません。

若年層向けの音楽イベントなのか、幅広い年代が来る地域イベントなのか。ここが決まれば、選ぶべき媒体はそのまま変わります。10代・20代が中心なら若い層の濃いSNSへ寄せ、親世代から高齢層まで来るならLINEを中心に据えます。まず自分のイベントに誰が来るかを一枚の紙に書き出すと、迷いが減ります。

保育園への掲示や公園での声かけが効く

地域の親子向けイベントなら、広告よりも足で稼ぐ告知が届きます。

近所の保育園や幼稚園にポスターを貼ってもらう、児童館にチラシを置く、公園で直接声をかける。オンラインに出てこない層へは、この地道な接触が効きます。たとえば公園でチラシを配るときは、一人を狙い撃つと警戒されがちです。グループでいるママ層に声をかけるほうが、受け取ってもらえます。

ただしデジタル広告の数字だけ追っていると、こうした現場の手渡しは視界から抜けます。相手が集まる場所へ紙を持って行くほうが、初回から手応えを掴めます。

数万円ならSNS中心、数十万円なら交通広告も視野に入る

最後の物差しが予算です。ここで手法はほぼ二分されます。

動かせるお金が数万円なら、SNS運用と紙の手配りが中心になります。自分の手で投稿し、印刷して配る範囲で組み立てる形です。ここから数十万円以上を確保できると、交通広告や運用型広告が選択肢に入ってきます。駅や車内で不特定多数に見せる広告は、桁がひとつ上がる前提の手法です。

もっとも、凝った広告ほど準備に時間がかかり、告知が遅れて効果が落ちることもあります。予算を上げれば届く範囲は広がりますが、間に合わなければ意味がありません。金額で手法を決めたら、次は出した広告を見た人が申し込みまで進めるか、その受け皿まで用意して初めて集客の形になります。

広告手法ごとの費用相場

広告に何円かかるのか。見積もりを取る前で足踏みする主催者もいます。オンラインとオフラインでは、費用のかかり方がそもそも違います。

オンライン広告にかかる費用の目安

SNS広告は少額から動かせます。

たとえば飲食系フェスの集客では、クリック単価十数円台で9,000クリックを集めた配信もありました。単価は十数円程度から。表示された回数ではなく、押された分だけしか費用はかかりません。数千円で試し出しして、反応を見てから判断できます。

運用型広告は予算を日単位で決められます。今日は三千円から始め、手応え次第で翌日に足していく出し方もできます。反応がなければ、その日のうちに止められる点が身軽です。まとめて枠を買う媒体とは、お金のかけ方がまるで違います。

オフライン広告の料金の目安

オフラインは金額の幅が一気に広がります。

実際に、チラシの反応率は全国平均で0.75%が目安です(ラクスル調べ)。千枚配れば七、八件の申し込みが届く計算で、紙は手元に残るぶん日付や会場が伝わりやすいという強みも持ちます。

同じオフラインでも、規模が変われば費用の桁も変わります。駅前の大型ビジョンは1日10万円台から出せ、紙のチラシとは届く人数のけたがそもそも合いません。交通広告なら、掲出の場所と期間しだいで1週間数百万円規模まで届きます。

もっとも、ここで挙げた相場はあくまで目安です。広告の効果は、媒体と時期で大きくばらつきます。数年前はよく反応した媒体が、今はほとんど動かないこともあります。出してみるまで、確実な費用対効果は読み切れません。

広告費だけでなく会場費や運営費も含めたイベント全体の予算感を把握しておくと、広告にどこまで配分できるかも判断しやすくなります。

イベント費用の相場はいくら?規模・種類別の目安と内訳を解説

広告を出しても人が集まらないのはなぜか

広告費をかけたつもりでも、開催日の1週間前になっても申込数が伸びず、何が足りなかったのか分からないまま焦りだけが募る主催者は少なくありません。

1つの手法だけに頼ると埋もれる

デザイナーに頼んだチラシを知り合いのお店に置き、同じデザインを流用して自分のSNSにも掲載するのが、初開催の主催者がやりがちな動きです。本人は宣伝したつもりでも、店に来た人がチラシに気づく保証はなく、SNSの投稿も普段つながっている相手までしか流れません。実際に、これだけでは誰にも届かず、集客活動をしていないに等しい状態です。

チラシもSNSも、置いた・上げただけ。

そのため一つの手法だけに頼ると、その手法が届かない場所にいる人には、開催そのものが知られないまま終わります。店に置いたチラシは来店客の一部にしか見られず、SNSの投稿はフォロワーの範囲を超えていきません。知り合いへの声かけ、他店との掲示の交換、地域の掲示板への設置。

届く相手はそれぞれ違います。届く先が違う手を重ねるほど、これまで接点のなかった人の目に入りはじめます。

告知は最低3週間前から動き出す

告知は遅くとも開催の3週間前までに広告を出し始めるのが、広告制作の現場でよく言われる目安です。

実際に、準備に手間取って開催直前にようやく告知を始めると、参加を検討する時間も、その日の予定を空ける余地も相手には残りません。誘いたい相手ほど、数週間先の予定はすでに埋まりはじめています。

もっとも、丁寧に凝った広告ほど制作に時間がかかり、そのぶん告知は後ろへずれます。質を上げようと粘って開催まで日がなくなるより、粗くても早く出して知らせる方が、結果として人は集まります。

広告を成果につなげる導線のつくり方

広告のクリック数や来場者数は伸びているのに、申込や次の集客に結びつかないことがあります。

広告から申込、来場、そして参加者による拡散まで。この流れのどこかに段差があると、集めた興味がこぼれ落ちます。

申込フォームの入力項目を減らして離脱を防ぐ

広告のリンクを開いた人が、申込フォームで会員登録やパスワード設定、事前入金まで求められた瞬間、広告で高まった参加意欲は申込ページで止まります。

実際に、入り口の手続きが重いだけで、集めた興味は申込に変わりません。

そこで、会員登録なしでオンライン申込と決済まで一つの画面で完結できれば、広告からの流入をそのまま申込に変えられます。電子チケットの仕組みなら名前と連絡先と支払いだけで手続きが終わり、思い立った勢いのまま、別のサービスへ移らずに参加を決められます。

自社に合った申込導線を選ぶには、販売方式ごとの特徴を比較しておくと判断しやすくなります。

チケット販売方法は3種類!委託・SaaS・自社直販の特徴と選び方など解説!

早割や限定枚数の締切表示で申込を後押しする

早割の締切や、枚数限定の告知。こうした表示があると、広告を見た人に今申し込む理由が生まれます。

あとで申し込もうと考えたまま忘れられてしまう取りこぼしは、締切を見せるだけで防げます。

QRコードで入場までスムーズにする

受付での名簿めくりと本人確認。列が伸びて開場時刻を過ぎても、人がさばけません。

そこで、電子チケットのQRコードで受付を通せると、当日の行列や名簿照合の手間が減ります。スマホをかざすだけで入場でき、スムーズに入れた体験は、そのまま参加者の投稿になって次の告知材料になります。

QRコードの仕組みや入場時の流れは、以下で詳しく解説しています。

QRコード電子チケットとは?使い方・入場の流れ・デメリットなど解説!

SNSシェア割引で参加者に広めてもらう

TikTokで紹介された場所やコトに興味を持ったユーザーは61.7%、実際に足を運んだ人は50.4%にのぼります(TikTok閲覧後行動調査)。

参加者がSNSでシェアすると割引や特典が付く仕組みにすると、来場者自身が次の広告塔になり、広告では届かない層にまで広がります。

シェアを促す運用の設計や炎上を避ける注意点は、以下で解説しています。

SNSファンマーケティングとは?炎上リスク対策と運用のコツを解説

ただし、申込導線を整えても、届いた相手にイベント自体の魅力が伝わっていなければ申込には至りません。導線はこぼれを防ぐ仕掛けであって、中身の弱さまでは埋められません。

よくある質問

広告費は売上のどれくらいを目安にすればいいですか

業種によって幅はありますが、売上の数パーセントから1割程度をマーケティング予算の目安にする企業が多いです。

そのため、イベント単体で考えるより、チケット販売額に対してどこまで広告費をかけて黒字になるかを先に計算し、その上限の中で媒体を選ぶ進め方が安全です。

チケット販売システムの導入を相談する

オンライン広告とチラシはどちらを先にやるべきですか

決まった正解はなく、参加者がふだんどこで情報を得ているかで優先順位が変わります。

スマホ中心に動く層を狙うならオンラインから、地域の生活動線に根ざした層を狙うなら紙の配布から着手すると、限られた時間を無駄なく使えます。

広告を出しても申込が伸びないときはどこを見直せばいいですか

まず疑うべきは広告そのものより、広告をクリックした先の申込ページです。

たとえば、入力項目が多い、決済方法が限られている、スマホで見づらいといった申込ページ側の摩擦が、広告で集めた興味を取りこぼしている場合が多くあります。

電子チケットの申込導線を相談する

少人数の地域イベントでも広告を出す意味はありますか

意味はあります。規模の小さいイベントほど、広範囲に届く広告より狭い範囲に確実に届く告知のほうが費用対効果に優れます。

近隣の生活圏に絞った告知で十分に定員が埋まるケースも多く、届ける範囲を無理に広げないほうがかえって申込は集まります。

参加者に告知を手伝ってもらうにはどうすればいいですか

友人や家族を誘いやすい仕組みを、申込や来場のタイミングにあらかじめ組み込んでおく方法があります。

同伴者向けの特典や、来場後にシェアしたくなる体験を用意しておくと、主催者が広告費をかけなくても参加者自身が次の告知役になってくれます。

まとめ

イベント広告は、参加者の年代と動かせる予算という2つの物差しで手法を絞り込むところから始まります。SNS・チラシ・駅の広告はそれぞれ届く相手も費用の桁も違い、どれか一つだけに頼ると、その手法が届かない層には開催そのものが知られないまま終わります。

告知は開催の3週間前を目安に動き出し、広告を見た人が申込フォームで離脱しないよう入力項目を減らし、早割や限定枚数で今申し込む理由をつくることが欠かせません。広告を出す量よりも、申込・来場・拡散までを一続きの導線として設計できているかで、集客の結果は大きく変わります。

申込フォームの入力項目や決済方法から見直したい場合は、電子チケットの導入を検討してみてください。

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